それから何回かNYを訪れ、時には1ヶ月位滞在したりして本格的にNYに移り住んだのは1973年10月でした。この頃増尾好秋、直居隆雄は既に居て、プーさん、川崎燎も僕と同時期にNYに移住するという今の大リーガーみたいに日本人ミュージシャンの大量NY進出の始まりの頃でした。
NYに住み出してからすぐに中村照夫さんを通して知り合ったミュージシャンとセッションを重ねるようになり、まだ20代前半だったBob Bergと、その頃治安が悪く今思うと恐ろしくなる南ブロンクスで夜中に12時頃から朝5時頃までドラムとトリオでやるギグなんてのをやっていました。
ある時、いつも一緒にセッションを演っていたドラマーがブルックリンで仕事を取ってきたので行ってみたらピアノがアルバート・デイリーでその頃彼はスタン・ゲッツのところのピアニストでした。そしてその時ドラムのアル・フォスターがその日の歌手の彼女に会いに来ていて目がハートマークになったままステージに上がってきて一緒に演奏したのを覚えています。演奏が終わってアルバートが今スタンのところのベース(多分ジョージ・ムラツ)が都合で出来なくなってスタンがベースを探しているからオーディションを受けてみないかと誘われました。次の週オーディションを受けに行きアルバートが推薦してくれていたのかほとんどオーディションというよりリハーサルみたいですぐにOKが出、さらにオリジナルはないか聞かれたので一曲提供しましたがそれは採用はされなかったみたいです。
この事がきっかけで米国での本格的な活動が始まりました。まだNYに渡って3ヶ月目くらいの事だったと思います。
次回はスタンとの西海岸ツアーの事を思い出しながら綴ってみようと思います。